2013/08/01

「大阪工業大学」  2012・夏



 「後輩のために、一肌脱いでくれませんか・・」

ちょうど一年前の夏、母校から突然の問い合わせがあった。
現在大学では、授業で取り組んだ課題をさらにブラッシュアップして、一年にいちど学外の審査員によって最優秀案を決める 「全体講評会」 を開いていて、今年はぜひ審査に参加して欲しいという。大学が私のような者の存在を知っていたことにまず驚いたが、懐かしくもあり快諾した。

久しぶりのキャンパスは増改築により高層化していて、当時の面影はまるでない。15階の審査会場へ向かう。そこからは淀川の蛇行や遠くに生駒山が展望できて、まるでホテルのラウンジのようだ。

審査員は、広島在住の気鋭建築家・谷尻誠さん、OBであり安井建築事務所で海外のビッグプロジェクトを手がける畑正俊さん、と私の3名。審査にはそれぞれの考え方の差が現れて、とても刺激的な経験をした。

審査することは、同時に審査されることでもある。
大きなエネルギーを注ぎ真剣に取り組む若者の作品を前にすれば、 「 一肌脱ぐ・・」どころか、自身の考え方や嗜好や、もしかしたら人格まで全てを裸にせざるをえない、それは厳しい場に立たされることになったのだった。