この壁は新梅田シティの20周年を記念して、運営管理者である積水ハウスが建設したモニュメント。
ところが、建設の際同ビルの造園設計者から、この緑化壁は著作権侵害との理由で、設置の指し止め請求を申請され、ネットを賑わしていた。さらに完成後は、緑化壁はただのプランター置き場に過ぎないなどと揶揄され、気にかかっていたのだった。
実際に現場に立ち、私見ではあるけれど感じたことは、この緑の壁は周辺の環境を丁寧に読み、隣接するの庭園との間をおきながら共存し、都市的風景までもを再構成した仕事だということだ。
壁は3mほどの厚さがある鉄骨造の建築で、内部にはメンテナンス用の床と給排水の設備が設けられ、植物の管理がスムーズにできるよう作られている。
「動線を分断する巨大な壁・・」などと聞いていたのだが、全長78m・高さ9mの壁のスケールは絶妙で、壁に空けられたいくつかの開口部のプロポーションが美しい。人の通りも風の通りもよく、むしろ超高層の足元でそのサイズは、やや遠慮気味ではないかと思えるほどだった。
よく言われることだが、建築は見なければ分からない。そしてそれは、ネット上の評価にも言えることだとあらためて感じた。