2013/04/01

「金沢工業大学」  2013・春

金沢工業大学で三年生の設計課題の授業をお手伝いして、もう13年目になる。

大学のキャンパスには堂々たる大樹が多くていつも素晴らしい。とりわけ春、2号館中庭の見事な枝垂桜を見ることは新年度の楽しみのひとつだ。最大の楽しみは、新しい学生諸君の顔を見ることに尽きるのだが、その前に30分間パワーポイントによる自己紹介の時間をいただいていて、それが今だに緊張する。それは自身の賞味期限を考えるからで、学生時代の私は冷静に教師を値踏みしていたものだ。

今年は、そんな学生時代に傾倒したル・コルビュジエの話から初めて、近代建築の五原則を経由し自作の「Gペントハウス」を紹介することにした。このペントハウスはマンションの屋上にある最小限住居で、第一課題の参考になればと思う。

コンクリートの技術が可能にしたフラットルーフの屋上は、空に近くて日当たりと眺めの良い快適な場所だが、なぜか日本ではあまり利用されていない。屋上を第二の大地と見立てて建築の大切な要素と位置づけたのは、ル・コルビュジエその人だった。あらためて作品集を見ると、彼の屋上はどれも船のデッキのようで、いかにも機械の時代の建築を思わせる。

私の屋上はといえば、借景の枯山水。日本的なものを現代の技術と材料で再構成している。特に夜景では、街の小さな光を庭につなげるデザインを工夫した。

作品詳細は、こちら。