2016/08/28

「旭川 DESIGN WEEK」 木工の街へ










































旭川に [ASAHIKAWA DESIGN WEEK] という催しがあり、地元家具メーカー 「カンディハウス」 のNさんに誘われ北海道へ。
それは、大地に足の着いた企業による町おこしのイベントでした。

旭川は人口35万北海道第二の都市で、その地の利を生かして木工の街として栄え、さらに今「ものづくりのまち」としてブランディングを始めていたのでした。

























メイン会場となる「旭川家具センター」では地元家具メーカー約50社が新作を展示、内容は手作り的なものからモダンなデザインまで様々で、旭川家具の層のぶ厚さと力量を示しています。






会場中央には世界的建築家・田根剛さんによる家具のパーツで構成されたインスタレーションが展示されています。
家具の「種」のような部品が浮遊し、このカオスから旭川の家具が生まれて行くイメージです。




田根さんは旭川で学生時代を過ごし、現在はパリを拠点に活躍する気鋭の建築家です。

近年、国際コンペで勝ち取った「エストニア国立博物館」を完成させ、東京オリンピックの「新国立競技場コンペ」では、古墳のようなスタジアム案で最終先行に残りました。

初日に開かれた講演会では、土地の歴史と深く関わるような建築の作り方とそのプロセスを紹介され、物事を原点から深く考えるその姿勢に感銘を受けました。








5日間の会期中は、東京を中心に日本各地からデザイナーや建築家など約1万人が参加。
ウェルカムパーティと田根さんの講演会をはじめ、ミラノサローネ報告会、各社の工場見学会、北海道の食の幸など、時と場所を変えて様々なおもてなしが、街を祝祭空間に仕立て上げて行きます。


http://www.asahikawa-kagu.or.jp/adw/report/index.html





2016/04/28

「石の文化」 @小松



文化庁に「日本遺産」というものがあって、昨年の「能登キリコ祭り」に引き続き、今年は県内から「小松市の石の文化」が認定されたそうだ。

小松の石と言われてもピンとこない人が多いと思うけれど、今回の認定は石にまつわる様々を時間を越えて物語に仕立て上げた、その編集力によるものかと思う。

金沢では土塀や石垣に使われる戸室石が有名だが、その他にも塀や門柱に今回の観音下の日華石をよく見かけるし、能登にも小木石というのがあって寺院の基壇などに見ることが出来る。
石川県はまさに名が体を表しているようだ。






那谷寺の近くに石切り場を見かけたのはいつだったろう。近づいてみてその神聖な気配に圧倒された。形が生まれる前のようなそれはまさに引き算の建築、負の神殿だった。




自然の中に屹立するこの垂直の壁は、人の暮らしが作った残滓にすぎない。
圧倒的な質量を持つその姿は、どこか2001年・キューブリックの「モノリス」を思わせる。





石切場近くの山中にある堂、胎内くぐりの後たち現れる。
巨大な岩盤を庇にして建てられていて、懸造り、見上げるその姿はかの投げ入れ堂を思わせる。両者共に場所の持つ大きな力を感じてそこに作られたのだろう。石や岩の持つ力。






周囲には石造アーチの橋がいくつか残っていて、いづれも小さなものだが手作りでほほえましい。

今回の「日本遺産」認定を機に思いつくまま引出しを開けてみたが、この他にも石にまつわる様々な物語がこの地域にあるに違いない。それらを発掘し編集し訪ねることは、街の大きな資源となるに違いない。




2014/04/19

「希望の壁」 

JR大阪の北側に位置する「梅田スカイビル」、その足元に造られた安藤忠雄さん設計の緑化壁「希望の壁」に立ち寄った。

この壁は新梅田シティの20周年を記念して、運営管理者である積水ハウスが建設したモニュメント。
ところが、建設の際同ビルの造園設計者から、この緑化壁は著作権侵害との理由で、設置の指し止め請求を申請され、ネットを賑わしていた。さらに完成後は、緑化壁はただのプランター置き場に過ぎないなどと揶揄され、気にかかっていたのだった。

実際に現場に立ち、私見ではあるけれど感じたことは、この緑の壁は周辺の環境を丁寧に読み、隣接するの庭園との間をおきながら共存し、都市的風景までもを再構成した仕事だということだ。

壁は3mほどの厚さがある鉄骨造の建築で、内部にはメンテナンス用の床と給排水の設備が設けられ、植物の管理がスムーズにできるよう作られている。

「動線を分断する巨大な壁・・」などと聞いていたのだが、全長78m・高さ9mの壁のスケールは絶妙で、壁に空けられたいくつかの開口部のプロポーションが美しい。人の通りも風の通りもよく、むしろ超高層の足元でそのサイズは、やや遠慮気味ではないかと思えるほどだった。

よく言われることだが、建築は見なければ分からない。そしてそれは、ネット上の評価にも言えることだとあらためて感じた。





2013/08/18

「いつかの風景」  長谷川銀・個展

普段、暮らしの中で 「ああ、」 と目にとまる一瞬というものがある。


犀川の川辺に仕事場を構えてもう20年になろうとするけれど、今だに季節の移ろいの中で感じるちょっとした変化や、今なら夏の日差しの中にある草いきれとか、鳥や草や虫の気配に立ち止まったりする瞬間がある。
たとえばそんな一瞬を捉えて表そうとする、長谷川銀さんの個展に伺った。

銀さんはもともと油絵を専攻されたそうだが、その作品は写真・絵画・造形と手法を選ばない。ともかく自身の身体が捕らえたその美しい一瞬を、複数の手段を使って表現し、共有しようとするもののように思えた。

蔵に展示された平面作品では、薄布にプリントした写真の裏にペイントを加えることで、「表面」に薄い深さが生まれ、その一瞬を 「思い出すように」 再現しているのが印象的だ。

さらにインスタレーションでは、(これは驚くべきことなのだが、)会場となる民家の庭の光や、座敷の空間に注目し、その「作品」によって場所にほんの少しだけ手を入れることで、うつくしく輝くような気配を実現して素晴らしかった。

場所の空気感を設計することは、建築の大きな目的のひとつであり、彼女がそこに気づき表現しようとしていることに驚いたし、とても新しいものを感じた。


@ 石川国際交流サロン・金沢市広坂1-8-14  8月25日(日)まで





2013/08/01

「大阪工業大学」  2012・夏



 「後輩のために、一肌脱いでくれませんか・・」

ちょうど一年前の夏、母校から突然の問い合わせがあった。
現在大学では、授業で取り組んだ課題をさらにブラッシュアップして、一年にいちど学外の審査員によって最優秀案を決める 「全体講評会」 を開いていて、今年はぜひ審査に参加して欲しいという。大学が私のような者の存在を知っていたことにまず驚いたが、懐かしくもあり快諾した。

久しぶりのキャンパスは増改築により高層化していて、当時の面影はまるでない。15階の審査会場へ向かう。そこからは淀川の蛇行や遠くに生駒山が展望できて、まるでホテルのラウンジのようだ。

審査員は、広島在住の気鋭建築家・谷尻誠さん、OBであり安井建築事務所で海外のビッグプロジェクトを手がける畑正俊さん、と私の3名。審査にはそれぞれの考え方の差が現れて、とても刺激的な経験をした。

審査することは、同時に審査されることでもある。
大きなエネルギーを注ぎ真剣に取り組む若者の作品を前にすれば、 「 一肌脱ぐ・・」どころか、自身の考え方や嗜好や、もしかしたら人格まで全てを裸にせざるをえない、それは厳しい場に立たされることになったのだった。